映画「ザ・フライ」

ザ・フライ

■邦題:ザ・フライ
■原題:THE FLY
■上映時間:97分
■製作国:アメリ
■ジャンル:SF、ホラー
■配給:20世紀フォックス映画
■提供:ブルックスフィルムズ
■公開:1987/01/15
■監督:デヴィッド・クローネンバーグ
■製作:スチュアート・コーンフェルド
■製作総指揮:メル・ブルックス
■原作:ジョルジュ・ランジュラン
■脚本:チャールズ・エドワード・ポーグ、デヴィッド・クローネンバーグ
■撮影:マーク・アーウィン
■編集:ロナルド・サンダース
■美術:キャロル・スパイヤー
■衣装:デニス・クローネンバーグ
■音楽:ハワード・ショア
■字幕:岡枝慎二
■主演:ジェフ・ゴールドブラムジーナ・デイヴィスジョン・ゲッツ、ジョイ・ブーシェル、レス・カールソン、ジョージ・チュヴァロ、マイケル・コープマン、デヴィッド・クローネンバーグ、他
■ストーリー:
物質移動と遺伝子組みかえの研究をしている科学者のセス・ブランドルは、エレクトリック展覧会の会場で科学雑誌の女性編集者ヴェロニカ・クエイフと知り合った。ブランドルは彼女を自宅兼研究室に招き、研究中のテレポッドを披露した。テレポッドとは物質転送装置で、生き物の場合は解体と再生により遥か離れた場所に移動できるという画期的な発明だった。ヴェロニカはスクープ記事にしたいと言ったが、発表するには早すぎるとして、ブランドルはそれを止めた。ヴェロニカは最近まで上司の編集長ボーランズと恋愛関係にあったが、ブランドルの真面目な研究態度に徐々に惹かれはじめ、やがてベッドを共にする仲になった。テレポッドの実験は大詰めの段階を迎え、ヒヒを転送したが失敗し、ヒヒは肉塊と化した。その時、電子部品がブランドルの背中に突きささり切り傷をつけてしまった。数日後、ボーランズはテレポッドを記事にしてしまい、腹を立てたブランドルはテレポッドに入り自分の肉体を使って転送実験を行なった。その時、テレポッドの中に蝿が1匹入ったのに気がつかなかった。転送は見事に成功したかにみえたが、その夜以降、ブランドルの生活と肉体に異変が生じはじめた。
■感想:
スキャナーズ」「ヴィデオドローム」のデヴィッド・クローネンバーグ監督作品。科学者自ら行った物質転送実験の際、一匹の蝿が紛れ込んだために起きる恐怖と悲劇を描いた50年代SF映画の秀作「蝿男の恐怖」のリメイク。オリジナルと大筋は基本的には同じだが、回想で描いたオリジナルとは違い時系列で描いている。ジェフ・ゴールドブラム演じるセス・ブランドルが“蝿”と遺伝子レベルで融合した結果、強靭な体を手に入れ精力絶倫になる。蝿男となったブランドルがモンスター化して大暴れする、ただのB級ホラー映画で終わることなく、ベロニカとの恋愛映画と上手く融合した作品に仕上がっている。怖いだけでなくユーモアや哀愁も含まれている。ブランドルの体が徐々に崩れていく過程が、とてもグロテスクに描かれており、クリス・ウェイラスによる特殊メイクがとても素晴らしい。アカデミー賞のメイクアップ賞を受賞しているのも納得。切なくなるラストも印象的。良質ホラーの一つである。クローネンバーグ監督は産婦人科医師役で出演している。
■評価:★★★★★